思い出の焼き鳥


年が明けてから、ずっと休みなしで厳しい寒さが続いていましたが、お変わりなくお過しでしょうか? 春まではもうすぐなので暖かくしてお過しください。

今日お話するのは、今からおよそ10年くらい前のことです。 当時、岩見沢の山奥に、山のふもとで農家が営んでいる小さな温泉がありました。  現在は、もう廃業してしまいましたが、私が通っていた頃は泉質にほれ込んだお客で、いつもにぎわっていました。 私は行く度に滝のような汗をかいて楽しんでいましたが、もうあの温泉につかれないと思うと残念でなりません。

あの頃、温泉からの帰り道には小さなプレハブ造りの焼き鳥屋が建っていました。 いつもは素通りしていましたが、そんなある日、とてもお腹が減っていたので、寄り道をしてみました。 店の中をのぞいてみると厚化粧で目付きの鋭い妙齢の女性が、炭火で鳥を焼いている最中でした。 私は注文をして、焼き鳥の代金を支払うのに1万円札を差し出したのですが、女店主は、私の顔をジロリとにらみ 「今、お釣りを切らしているんだけど細かい持ち合わせはないの!! なければどこかでくずして来てもらえる!!」 と少し不機嫌そうな口調でそう言いました。 私はその時、他に持ち合わせがなかったので近くのコンビニまで走ってお金をくずしてからまた焼き鳥屋まで戻ってきました。  それで先程の支払いを済ませて店から出る時に女店主はこう言い放ちました。「お客さん、今度からお釣りのないように持って来てね!! また、いつでもどうぞ!!」 気弱な私は店主の迫力に押されて 「ハイ、今度からそうします」 と答えて帰ってきました。 荒い接客でしたが焼き鳥はなかなか美味しかったので、それからは温泉に行く度に、その焼き鳥屋に立ち寄るようになりました。 度々訪れていても女将は、あまり歓迎してくれている様子はありませんでしたが、悲しいことに味が良かったので足が向いてしまったのです。

それからしばらくの間、岩見沢の温泉に行かなくなりました。 それはきっと同じ温泉ばかり行っていたので、いい加減飽きたのだと思います。 2年ぶりに例の焼き鳥屋の前を通ってみると、その店は建物ごと消えて無くなっていました。 あの焼き鳥屋の女将は、今もどこかで焼き鳥を焼いているのでしょうか? どんなお客が来ても、あの調子で振るまっているのでしょうか? 彼女は多分、今でも 『向かうところ敵なし』 に違いありません。 私は今でも時々、思い出しますが、またあの焼き鳥が食べたいですね・・・

【 つづく 】


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