平岡整体療院院長の放浪記 |
第61話 エジプト考古学博物館C (カイロ博物館) 「ミイラ室」 |
1881年、今からおよそ130年前の幸運な発見によって32体の王族のミイラが見つかりました。 それは、ルクソールのクルナの泥棒村の奥に位置する大司教パネジューム2世の家族墓からでした。 この洞窟の中で、ラムセス2世を含む32体の王や王妃のミイラが、偶然、一つの場所に集められた状態で眠っていたのです。
これは、盗掘を恐れた神官たちが、王墓から棺を他へ避難させて守ろうとした為で、棺の移動はこれまでに2回ほど行われていました。 エジプト当局は、ミイラを守る為に早速、それらを洞窟から首都カイロまで運ぶことにしました。 夜の闇の中で古代の支配者たちの風変わりな最後の葬送が行われたのです。 現在、32体のうち、23体がカイロ博物館の二階のギャラリーに眠っています。 かつて最大の栄華を極めた王族たちは、ガラスケースに納められ、さらにガラスケースの中にはミイラを酸化から守る為の不活性のガスが充填されています。
長い旅の果てにやっと安心して眠りにつける場所に辿り着けた訳です。 神官に替わり現在は、ミイラを保護する技術者が王族たちを守っています。 ラムセス2世と、その父、セティ1世のミイラは2体並んで眠っていました。 セティー1世の顔は、まるでお地蔵さんのように安らかな寝顔に見え、ラムセス2世は老いたラクダのように見えました。
彼らは王家の谷の墓所で永遠の眠りについたはずでした。 果たしてラムセス王の財宝はどうなったのか・・・・・ 王の宝物はどこに・・・・・ 黄金のマスクは・・・・・ ?? ただ一つ残った物・・・・・ それはかつて最大の権勢を誇ったラムセス王の裸のミイラでした。 ラムセス王のミイラを見ていると、エジプト最大の支配者の運命ですら、死後は闇の中にあるということを物語っているような気がします。 |
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