平岡整体療院院長の放浪記


第2話 「最寄りの空港に緊急着陸」

明け方、目を覚ましたら飛行機が斜めになって飛んでいます。 前日の夜、関西空港を出発したのですが、目的地のカタールまではあと4時間程です。 機内もザワザワしていて何か様子が変です。 

そうしたら間もなく機内アナウンスが流れて来ました。 英語が駄目な私はさっぱり訳が分からなかったのですが、日本語が話せる客室乗務員がやってきて、アナウンスの説明を始めました。 『油圧計と右エンジンの不具合で最寄りの空港へ着陸します』 私は 『最寄りの空港はどこですか?』 と聞いたのですが 『まだ確認できていません』 と言います。 それから 『何も心配ありませんからご安心ください』 と言われました。

すると乗務員が話している最中に頭上から酸素マスクが下りて来ました。 この瞬間に機内は恐怖に包まれました。機内のあちらこちらから悲鳴が聞こえて来て私の脳は一瞬凍りつきました。

乗務員はすかさず 『急激に高度が下がりますので酸素マスクを口に当ててください』 というので、言われた通りにしたのですが、皆、心中穏やかでいられる訳がありません。 私は不安でたまりませんでした。

急降下の最中に乗務員が 『ジェット機はエンジンが片方だけでも作動していれば飛行できますので落ちる事はありませんからご安心ください』 などと言ったものですから余計に怖くなってしまいました。 

その後は大きな揺れも無く、割とすんなりと無事に緊急着陸が実行されたのです。 

外は明るくなっていたので窓から風景を見ることができました。 広大な原野に滑走路があり、その中に空港の建物らしきものがぽつんと見えました。 

着陸はしたものの、乗客は20分程そのまま放っておかれたままでした。 乗務員にここがどこなのか尋ねても 『只今確認しております。もう少々お待ちください』 としか言ってくれません。 そうしているうちに機内アナウンスが流れました。 『機内から建物へ移動してもらいます』 という内容の様です。 

皆、手荷物を持って外へ出て行きます。 私もその列に並んで機外へ出ました。 タラップを降りると外の空気が冷たく、空は明るくなってはいますが薄く曇って太陽がぼんやりと見えます。空気もよどんでいます。 地面はほこりっぽく見えました。 標高が高いのか、それとも近くに砂漠があるかの様です。 

建物が近づいてくると漢字の看板が見えます。 建物の中に入ると人民解放軍の軍服を着た人が入国手続きの窓口にいます。 どうやら中国に降りた様です。 私はそれから入国手続きを済ませて待合のロビーに向かいました。  


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