平岡整体療院院長の放浪記


第6話 「カッパドキア」(岩の要塞 ウチヒサル)

前日はカタールからイスタンブール、そしてアンカラまで飛行機を乗り継ぎ、その後はバスに乗り換えて、深夜にカッパドキアに到着しました。

丸一日かけて移動したのは、新疆ウィグル自治区で足止めされた分の遅れを取り戻す為でした。 その為に周る予定だった観光地を3つほど諦めるしかありませんでした。

翌朝、カッパドキアの洞窟ホテルで目を覚ますと、寝不足と飛行機の乗りすぎで身体がだるくて、下半身のあちこちが痛みました。 天候も どんより としています。

朝食の後、バスに乗り込むと、バスは深い谷へと進んで行きます。 雨と風に侵食されて形成されたキノコ型の凝灰岩の岩塔が見えて来ました。 奇怪な形の岩山の風景がどこまでも続いています。 遥か向こうの上空には熱気球がいくつか浮かんでいるのが見えます。


妖精の煙突と呼ばれる岩塔群

この谷は遥か昔に火山の噴火で、火山灰が大量に降り積もり、その後、火口から吹き上がった溶岩流が火山灰にかぶさって、その後、冷えて固まり、それから気が遠くなるような歳月をかけて雨と風が岩を削って出来た地形なのだそうです。 


ギョレメの谷から見たウチヒサル

この土地に人が住むようになったのは、約3000年前のヒッタイト王国(古代エジプト第18王朝期にエジプトと鉄の王国ヒッタイトとは戦争をしていた)の頃からだと言われていますが、その後、ローマ帝国時代、イスラム勢力時代を経て現代まで長く人々が生活をしてきたそうです。 


巨大な奇岩には数え切れない程の洞窟が掘られていますが、この岩山は凝灰岩(火山灰が固まってできた軽石のように柔らかい岩質)から出来ていて、とても加工しやすく洞窟を掘るのには作業がしやすかったようです。 しかし 削ったあと48時間程たつと岩の表面が酸化して硬くなる性質を持っています。 ですから掘られた洞窟は意外と頑丈だそうです。 

無数に掘られた洞窟は住居を目的として使われたのを始めとして、家畜小屋や鳩小屋、食料庫、礼拝堂やワイン蔵としても使われていました。 意外だったのが、この土地の農業は鳩を飼って、その鳩の排泄物をぶどう畑の肥料として活用し、収穫したぶどうでワインを製造していたのだそうです。 非常にエコな農業だと思いました。 


この先 数キロにわたって こんな景色です

やがてバスが お土産屋さんの前に停まりました。 バスから降りると、目の前には ひと際巨大なアリ塚のような岩山がそびえています。 これが『岩の要塞』と呼ばれている『ウチヒサル』なのですが、ここはヒッタイト王国の時代には軍の戦略的拠点であり、同時に東西交易の要所にもなっていたようで、さしずめ商業都市の中に軍の駐屯地もある城郭都市のような機能を果たしていたようです。 


正面から見た岩の要塞『ウチヒサル』

この風景の中にいると自分が童話かSFの世界に迷い込んでしまったような錯覚を覚えます。 私の記憶違いかも知れませんが、映画スターウォーズの一場面で見たような気がします。 たぶん記憶違いだと思います。 


ローズバレー

ローマ帝国時代にキリスト教徒が迫害を逃れて、この岩山に隠れ住んだそうですが、これほど複雑な地形なら、それも可能だったのでしょう。 モンゴルが攻撃してきた時代にはイスラム教徒も避難してきたそうです。 どうやら逃亡者が潜伏するのには持って来いの地形だったようです。 ひっとしてあの『アルカイダもアフガニスタンのここと似たような地形の中で潜んでいるのでは…』 そんな事を想像してしまいました。 


残念な事にこの日は雨降りで、せっかくの景色が薄暗く曇っていましたが、ここ数年の温暖化の影響で冬でも雪が積もらなくなっているそうです。 雪は積もっていませんでしたが、空に浮かんだ気球が岩の芸術と絶妙に調和していて、その風景は幻想的でした。 しかし次に来る時には、よく晴れた日を希望します。 

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